アルザスのこちら側

一般言語学を専攻し、学位はとったはいいがあとが続かず、ドイツの片隅の大学のさらに片隅でヒステリーを起こしているヘタレ非常勤講師が人を食ったような記事を無責任にガーガー書きなぐっています。それで「人食いアヒルの子」と名のっております。 どうぞよろしくお願いします。

カテゴリ:スポーツ > スポーツ一般

 実は私は高校生のころずっとと大学に行ってもちょっとの間続けていたので剣道三段を持っている。だから、というとあまりにも理由になっていない理由で申し訳ないが、どうもあのフェンシングというスポーツが嫌いだ。なんか後ろに変な電気コード引きずった選手が一次元の線上をピョコピョコ飛び跳ねながらすぐヘナヘナしなうような軟弱な剣でチョンチョンつつきあいしてるのをみるとイライラしてくるのだが(ごめんなさい)。
 もちろん向こうもこちらに同じ事を言ってくるに違いない。妙なスカートを履いた(多分袴なんて外の人から見たらスカートの出来損ないにしか見えないだろう)選手が、打ち込むたびに断末魔のネアンデルタール人みたいな奇声をあげる、当たったか当たらなかったかを電気信号などの客観的な方法で決めないで横っちょにエラそうに立ってる審判が旗振って決める、フェンシング選手が見たらなんじゃいありゃと思うだろうからまあおあいこだ。

 さて、2016年のオリンピックほど見なかった大会は初めてである。もちろんTVでニュース映像が報道されたからといって目をそむけたりTVを消したりはしなかったが、とにかく実況は全く見なかった。別にわざわざボイコットしたわけではない、見る気がしなかったのだ。すでに前々回の2008年ごろから開始前にいろいろ胡散臭い問題や疑惑が湧いてくるようになってシラケムードが濃厚になってきてはいたのだが、今回はあまりにもヒド過ぎた。

 まず会場都市のリオ・デ・ジャネイロに反対者が大勢いたのにお上がごり押しした。オリンピックなんかやってもIOCに金を吸い取られるだけで開催都市にはほとんど経済効果はないということはロス・アンゼルスやアテネ以降、知らない者はいないから反対したのである。「そんな金があるんだったら、社会に回せ」。まさに正論だ。さらにどんなに開催都市が借金まみれになってもIOCは損をしない仕組みになっているばかりか、リオでの大会後オリンピックの宣伝のためにOlympic Channelとかいう特別なTV局を設置し、それに6億ドルだかの費用をかけることにした、と聞けばその一部でもいいからリオに回してやればよかったのにという考えが頭をよぎる。貧乏人が借金まみれになっているのを尻目に自分たちはこれ見よがしに湯水のように金をつかう、これではまるで悪徳商人・吸血鬼ではないか。開催地の住民は踏んだり蹴ったり。ドッチラケである。
 さらにドッチラケたのが、ドーピング問題に対するIOCの態度だ。ロシアが国を挙げてドーピングしているという話自体には何を今更感があったが、世界陸上委員会がロシアを追及して破門(違)にしたのを見て、おおここはそれなりに改善する気があるんだなと感心していたらIOCがそれを骨抜きにした。こちらの新聞でも批判されていたが、その際勇気を持って自国のドーピング事情を告発したユリア・スチェパノヴァ選手が出場できなかった一方、限りなく疑惑のある(そして、スチェパノヴァ選手と違って告発する勇気はもたない)選手たちは何だかんだとIOCが弁護して出場させた。まさかプーチン氏から金でも貰ったわけではないだろうが、利潤・客寄せ第一のIOCの面目躍如、極めて後味が悪かった。いや開始前だから、「前味」か。
 繰り返すが、私がシラケたのはドーピングそのものよりそれに対するIOC側の態度である。こういうことをいうと私が人間性を疑われそうだが、勝ちたい一心で選手が自らヤクを打つにしろ勝たせたい一心で国が秘密裏に選手をヤク付けにするにしろ、私が健康を害するワケじゃなし、心の隅には薬漬けでもなんでもいいから一度100mを5秒で走る人間というものを見てみたいという気持ちもある。見つかれば罰を受けるのだし、見つからなければ早死にする、ということで当事者はある意味では体を張っているのであるから素人の私が外からヤイヤイいっても仕方がない。だがそれを監視すべき立場のものが、職業倫理より金を優先させたとなると話は全く別だ。
  
 もっともドーピングと言われて思い出す、というより強制的に思い出させられるのがロシアより旧東ドイツの選手たちである。1970~80年代に東独が国を挙げてやっていたドーピングも相当なものだった。ただ社会主義が崩壊した後、現ロシアと違って西ドイツに吸収されて組織や体制が完全に入れ代わったため、いろいろなことが明るみに出たのである。
 1985に東ドイツのマリータ・コッホという選手が47秒60というウソのような世界記録を出し、それがいまだに破られていないので、今でも陸上世界選手権やオリンピックの女子400mになるとその「世界記録」がテロップに出てくる。これが出るたびにドイツ人は恥しくなるそうだ。薬まみれの生産物であることが確実だからである。1991年にハイデルベルクの癌研究所の生物学の教授ヴェルナー・フランケらが詳細にデータを検証して東ドイツでは組織的にドーピングをしていたこと、コッホももちろんそうであったことを明らかにした。しかし、あらゆる検証からして確実なことでもその大会でコッホが本当にヤクを打っていたという直接の証拠がないから引っ込められないんだそうだ。それでこのテロップをみると過去の罪を毎回強制的に思い出させられているように感じるらしい。

 しかし国によっては自国の選手をドーピングする手間さえ惜しんで手っ取り早く外国から出来合いの選手を輸入し、国籍を与えてユニフォームを着せ、メダル稼ぎのマシンとして利用するところがある。これはカタールとかがすごい。この間のオリンピックなどでもブルガリア人の重量挙げの選手、イランのレスリングの選手、エチオピア(それともケニアだったかな)のマラソン選手などがなぜか皆カタール人として出場していた。そのわりにメダルは取れていなかったようだが。ケニアの選手がトルコから出てきたのも見たことがある。
 この傭兵の中にはマリーン・オッティなどの大物もいる。故郷はジャマイカだが、そこの陸連と齟齬をおこしたため、つてを頼ってスロヴェニアに移住し、スロヴェニア代表として出場した。
 面白いのがヨーロッパの卓球選手権で、一度女子個人戦のデンマーク対スウェーデンだか何かをTVで見かけたことがあるが、どちらも中国人の選手だった。1998年以降の中国人の女子個人優勝者を見てみると次のようなあんばいである。

1998年エインドホーヴェン(オランダ)大会
ニ・シアリャン Ni Xialian (ルクセンブルク)

2000年ブレーメン(ドイツ)大会
キャンホン・ゴッシュ Qianhong Gotsch (ドイツ)

2002年ザグレブ(クロアチア)大会
ニ・シアリャン Ni Xialian (ルクセンブルク)

2005年アールフス(デンマーク)大会
リュー・ジャ Liu Jia (オーストラリア)

2007年ベオグラード(セルビア)大会
リ・ジアオ Li Jiao (オランダ)

2009年シュツットガルト(ドイツ)大会
ウー・ジアドゥオ Wu Jiaduo (ドイツ)

2011年グダンスク(ポーランド)大会
リ・ジアオ Li Jiao (オランダ)

2013年シュヴェヒャート(オーストリア)大会
リ・フェン Li Fen (スウェーデン)

名前が漢字でなくローマ字表記だけで書かれてはいるが、これのどこがヨーロッパ選手権なんだと思う。もっともこの現象は女子だけで、男子の個人優勝者は皆ヨーロッパ系の名前であるところをみると、つまりこの選手たちは欧米人と結婚した中国人女性と思われる。もともと欧米人と結婚する東洋人女性は逆より数倍多いのだ。

 私個人はこの傭兵は構わないと思っている。偏狭な民族主義者・純血主義者は反対するかもしれないが、傭兵の側と国の側が双方合意しているのだから、互いの利益が一致してまことに結構。倫理にも反していないし、第一代表選手がカラフルになって見ているほうも楽しいではないか。
 問題は双方に合意がない場合、例えばその国の代表なんかになりたくない選手に国が無理矢理国旗を押し付けて走らせたりする場合であろう。そう、ここで私の頭にあるのは孫基禎選手のことだ。
 今のIOCなら金に敏感にもなったついでに人権とか国家倫理とかにも一応敏感になっているので、宗主国が植民地を独立国と認めていなくとも国あるいは独立チームとして認めるのが普通だ。だから台湾という「国」のチームが出てくるのである。そもそも今日の国際社会なら日本の朝鮮併合は承認されないだろう。だから今だったら孫選手は最悪でも「日本領コレア」または「日本領朝鮮」、多分「日本領」なんて前置きなしでズバリ「コレア」あるいは「朝鮮」の代表選手と見なされ、氏の世界記録や金メダルは「朝鮮」のものとなるはずだ。しかし孫選手が活躍したのは民族国家という幻想が世界を席巻していたころであり、しかも金メダルを取ったのはナチスドイツの主催したベルリンオリンピックである。条件が悪すぎたとしか言いようがない。
 この間ドイツのTVでこの孫選手のドキュメンタリー番組を流していたので驚いたが、私はオリンピック史などの話になったとき、孫選手の国籍が「日本」となっているのを見るたびに上述のマリータ・コッホの記録を見せられたドイツ人と同じような気持ちになって恥かしくて仕方がない。もちろん当時は韓国も北朝鮮もなかったが、今からでもせめて「朝鮮」という国籍に直して上げられないのかと思うのだが、これも薬によるイカサマ記録と同じで一旦書き込んだら変更できないんだそうだ。理不尽である。

 オリンピックが終わってみるとドイツも日本もメダルを結構取ったようだし、ネットなどで皆が楽しそうに話をしているのでさすがにちょっとは見れば良かったかなとは思った。しかし一方でスポーツとはあまり関係ない子供じみた仰々しい開催式、開催都市を借金まみれにさせても自分たちは肥え太る悪徳商人じみた経営、あまりにも不透明な運営ぶり、IOCがこの先もこういう路線で行くようだと東京大会も全く見ないで終わりそうな気がする。

この記事は身の程知らずにもランキングに参加しています(汗)。
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オリンピック東京大会が大揺れだ。以下の記事は前回リオ大会のとき書いたものだが、そのときふと東京大会に対して抱いた嫌な予感が当たってしまったようだ。ここでちょっと言及している「ロシアに対するドーピング対策を事実上骨抜きにした」IOCの張本人が実はトーマス・バッハ氏である。


 実は私は高校生のころずっとと大学に行ってもちょっとの間続けていたので剣道三段を持っている。だから、というとあまりにも理由になっていない理由で申し訳ないが、どうもあのフェンシングというスポーツが嫌いだ。なんか後ろに変な電気コード引きずった選手が一次元の線上をピョコピョコ飛び跳ねながらすぐヘナヘナしなうような軟弱な剣でチョンチョンつつきあいしてるのをみるとイライラしてくるのだが(ごめんなさい)。
 もちろん向こうもこちらに同じ事を言ってくるに違いない。妙なスカートを履いた(多分袴なんて外の人から見たらスカートの出来損ないにしか見えないだろう)選手が、打ち込むたびに断末魔のネアンデルタール人みたいな奇声をあげる、当たったか当たらなかったかを電気信号などの客観的な方法で決めないで横っちょにエラそうに立ってる審判が旗振って決める、フェンシング選手が見たらなんじゃいありゃと思うだろうからまあおあいこだ。

 さて、2016年のオリンピックほど見なかった大会は初めてである。もちろんTVでニュース映像が報道されたからといって目をそむけたりTVを消したりはしなかったが、とにかく実況は全く見なかった。別にわざわざボイコットしたわけではない、見る気がしなかったのだ。すでに前々回の2008年ごろから開始前にいろいろ胡散臭い問題や疑惑が湧いてくるようになってシラケムードが濃厚になってきてはいたのだが、今回はあまりにもヒド過ぎた。

 まず会場都市のリオ・デ・ジャネイロに反対者が大勢いたのにお上がごり押しした。オリンピックなんかやってもIOCに金を吸い取られるだけで開催都市にはほとんど経済効果はないということはロス・アンゼルスやアテネ以降、知らない者はいないから反対したのである。「そんな金があるんだったら、社会に回せ」。まさに正論だ。さらにどんなに開催都市が借金まみれになってもIOCは損をしない仕組みになっているばかりか、リオでの大会後オリンピックの宣伝のためにOlympic Channelとかいう特別なTV局を設置し、それに6億ドルだかの費用をかけることにした、と聞けばその一部でもいいからリオに回してやればよかったのにという考えが頭をよぎる。貧乏人が借金まみれになっているのを尻目に自分たちはこれ見よがしに湯水のように金をつかう、これではまるで悪徳商人・吸血鬼ではないか。開催地の住民は踏んだり蹴ったり。ドッチラケである。
 さらにドッチラケたのが、ドーピング問題に対するIOCの態度だ。ロシアが国を挙げてドーピングしているという話自体には何を今更感があったが、世界陸上委員会がロシアを追及して破門(違)にしたのを見て、おおここはそれなりに改善する気があるんだなと感心していたらIOCがそれを骨抜きにした。こちらの新聞でも批判されていたが、その際勇気を持って自国のドーピング事情を告発したユリア・スチェパノヴァ選手が出場できなかった一方、限りなく疑惑のある(そして、スチェパノヴァ選手と違って告発する勇気はもたない)選手たちは何だかんだとIOCが弁護して出場させた。まさかプーチン氏から金でも貰ったわけではないだろうが、利潤・客寄せ第一のIOCの面目躍如、極めて後味が悪かった。いや開始前だから、「前味」か。
 繰り返すが、私がシラケたのはドーピングそのものよりそれに対するIOC側の態度である。こういうことをいうと私が人間性を疑われそうだが、勝ちたい一心で選手が自らヤクを打つにしろ勝たせたい一心で国が秘密裏に選手をヤク付けにするにしろ、私が健康を害するワケじゃなし、心の隅には薬漬けでもなんでもいいから一度100mを5秒で走る人間というものを見てみたいという気持ちもある。見つかれば罰を受けるのだし、見つからなければ早死にする、ということで当事者はある意味では体を張っているのであるから素人の私が外からヤイヤイいっても仕方がない。だがそれを監視すべき立場のものが、職業倫理より金を優先させたとなると話は全く別だ。
  
 もっともドーピングと言われて思い出す、というより強制的に思い出させられるのがロシアより旧東ドイツの選手たちである。1970~80年代に東独が国を挙げてやっていたドーピングも相当なものだった。ただ社会主義が崩壊した後、現ロシアと違って西ドイツに吸収されて組織や体制が完全に入れ代わったため、いろいろなことが明るみに出たのである。
 1985に東ドイツのマリータ・コッホという選手が47秒60というウソのような世界記録を出し、それがいまだに破られていないので、今でも陸上世界選手権やオリンピックの女子400mになるとその「世界記録」がテロップに出てくる。これが出るたびにドイツ人は恥しくなるそうだ。薬まみれの生産物であることが確実だからである。1991年にハイデルベルクの癌研究所の生物学の教授ヴェルナー・フランケらが詳細にデータを検証して東ドイツでは組織的にドーピングをしていたこと、コッホももちろんそうであったことを明らかにした。しかし、あらゆる検証からして確実なことでもその大会でコッホが本当にヤクを打っていたという直接の証拠がないから引っ込められないんだそうだ。それでこのテロップをみると過去の罪を毎回強制的に思い出させられているように感じるらしい。

 しかし国によっては自国の選手をドーピングする手間さえ惜しんで手っ取り早く外国から出来合いの選手を輸入し、国籍を与えてユニフォームを着せ、メダル稼ぎのマシンとして利用するところがある。これはカタールとかがすごい。この間のオリンピックなどでもブルガリア人の重量挙げの選手、イランのレスリングの選手、エチオピア(それともケニアだったかな)のマラソン選手などがなぜか皆カタール人として出場していた。そのわりにメダルは取れていなかったようだが。ケニアの選手がトルコから出てきたのも見たことがある。
 この傭兵の中にはマリーン・オッティなどの大物もいる。故郷はジャマイカだが、そこの陸連と齟齬をおこしたため、つてを頼ってスロヴェニアに移住し、スロヴェニア代表として出場した。
 面白いのがヨーロッパの卓球選手権で、一度女子個人戦のデンマーク対スウェーデンだか何かをTVで見かけたことがあるが、どちらも中国人の選手だった。1998年以降の中国人の女子個人優勝者を見てみると次のようなあんばいである。

1998年エインドホーヴェン(オランダ)大会
ニ・シアリャン Ni Xialian (ルクセンブルク)

2000年ブレーメン(ドイツ)大会
キャンホン・ゴッシュ Qianhong Gotsch (ドイツ)

2002年ザグレブ(クロアチア)大会
ニ・シアリャン Ni Xialian (ルクセンブルク)

2005年アールフス(デンマーク)大会
リュー・ジャ Liu Jia (オーストラリア)

2007年ベオグラード(セルビア)大会
リ・ジアオ Li Jiao (オランダ)

2009年シュツットガルト(ドイツ)大会
ウー・ジアドゥオ Wu Jiaduo (ドイツ)

2011年グダンスク(ポーランド)大会
リ・ジアオ Li Jiao (オランダ)

2013年シュヴェヒャート(オーストリア)大会
リ・フェン Li Fen (スウェーデン)

名前が漢字でなくローマ字表記だけで書かれてはいるが、これのどこがヨーロッパ選手権なんだと思う。もっともこの現象は女子だけで、男子の個人優勝者は皆ヨーロッパ系の名前であるところをみると、つまりこの選手たちは欧米人と結婚した中国人女性と思われる。もともと欧米人と結婚する東洋人女性は逆より数倍多いのだ。

 私個人はこの傭兵は構わないと思っている。偏狭な民族主義者・純血主義者は反対するかもしれないが、傭兵の側と国の側が双方合意しているのだから、互いの利益が一致してまことに結構。倫理にも反していないし、第一代表選手がカラフルになって見ているほうも楽しいではないか。
 問題は双方に合意がない場合、例えばその国の代表なんかになりたくない選手に国が無理矢理国旗を押し付けて走らせたりする場合であろう。そう、ここで私の頭にあるのは孫基禎選手のことだ。
 今のIOCなら金に敏感にもなったついでに人権とか国家倫理とかにも一応敏感になっているので、宗主国が植民地を独立国と認めていなくとも国あるいは独立チームとして認めるのが普通だ。だから台湾という「国」のチームが出てくるのである。そもそも今日の国際社会なら日本の朝鮮併合は承認されないだろう。だから今だったら孫選手は最悪でも「日本領コレア」または「日本領朝鮮」、多分「日本領」なんて前置きなしでズバリ「コレア」あるいは「朝鮮」の代表選手と見なされ、氏の世界記録や金メダルは「朝鮮」のものとなるはずだ。しかし孫選手が活躍したのは民族国家という幻想が世界を席巻していたころであり、しかも金メダルを取ったのはナチスドイツの主催したベルリンオリンピックである。条件が悪すぎたとしか言いようがない。
 この間ドイツのTVでこの孫選手のドキュメンタリー番組を流していたので驚いたが、私はオリンピック史などの話になったとき、孫選手の国籍が「日本」となっているのを見るたびに上述のマリータ・コッホの記録を見せられたドイツ人と同じような気持ちになって恥かしくて仕方がない。もちろん当時は韓国も北朝鮮もなかったが、今からでもせめて「朝鮮」という国籍に直して上げられないのかと思うのだが、これも薬によるイカサマ記録と同じで一旦書き込んだら変更できないんだそうだ。理不尽である。

 オリンピックが終わってみるとドイツも日本もメダルを結構取ったようだし、ネットなどで皆が楽しそうに話をしているのでさすがにちょっとは見れば良かったかなとは思った。しかし一方でスポーツとはあまり関係ない子供じみた仰々しい開催式、開催都市を借金まみれにさせても自分たちは肥え太る悪徳商人じみた経営、あまりにも不透明な運営ぶり、IOCがこの先もこういう路線で行くようだと東京大会も全く見ないで終わりそうな気がする。

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